法人設立の手順
(株式会社編)
事業を始めるときは、個人事業主として開業するか、会社を設立して起業するか、いずれかを選択することになります。個人事業主の場合は、開業届を納税地の税務署に提出するだけで、手続き上はすぐに開業できます。
一方で、会社を設立するには、法令上定められたいくつかの手続きが必要です。手間はかかりますが、法人の場合は、個人事業主では得られないさまざまなメリットがあります。特に、建築・不動産業、小売・卸売業の他、コンサルティングや飲食関連などのサービス業、IT関連といった業種では、個人事業主よりも法人の方が事業を運営しやすくなります。
発起人の決定
発起人は、会社設立までの手続きを進める人です。人数は1名以上で、法人も発起人になることができます。発起人は 1株以上の出資が必要となります。
基本事項の決定
会社の目的、社名、事業内容、本店所在地、資本金の額、持株比率、役員構成、決算期などの会社の基本的な事項を決定します。
定款の作成
定款とは、会社の憲法とも呼べるもので、会社の根本となる重要な規則です。
定款の認証
証人によって、定款の記載に法令上の問題がないかなどをチェックし、間違いのない定款であることを証明してもらいます。公証人は、法務大臣に任命された法律事務の専門家です。
定款の認証は、北海道を除き、本店の所在地を置く都府県にある公証役場ならどこでも構いません。北海道は、本店所在地を管轄する地域の法務局または地方法務局の管内にある公証役場で行います。
会社の印章を注文する
登記では会社の印鑑を届け出ます。社名が決定したら代表者印(実印)や銀行印、角印などを作りましょう。
出資金の払い込み
発起人は引き受けた株数に相当する金額を、金融機関に払い込みます。まだ会社設立前で、会社名義の口座は作れませんので、発起人の口座に振り込むことが多いです。自分の口座であれば、自分の預金残高がすでにあっても、出資金の金額をいったん引き出して、入金し直してください。
この払い込まれた口座の通帳のコピーをとります。通帳の表紙、表紙裏(支店名、口座番号、口座名義人が記載されているページ)、振込記録のあるページをコピーします。これらのコピーと一緒に「払い込みを証する書面」を作成します。
登記申請
設立登記は、本店所在地を管轄する法務局などに申請します。法務局の管轄は下のリンクをご覧ください。
設立登記の申請には、取締役1人で書類を減らした場合でも「株式会社設立登記申請書」「登録免許税の収入印紙貼付台紙」「定款」「設立時取締役の就任承諾書」「取締役の印鑑証明書」「払い込みを証する書面」「印鑑届書」といった書類が必要です。これらの必要書類は定款の記載内容などによって変わります。
登記を申請した日が原則として会社の設立日になります。
設立後の手続き
登記が完了すれば会社は設立されていますが、年金事務所や税務署、役場への書類の提出が必要です。また、一般的には金融機関の口座も開設手続きをします。これらの手続きには「履歴事項全部証明書」(登記簿謄本)が必要な場合がありますので、法務局で数通取得しておくとよいでしょう。
年金事務所への提出書類
年金事務所には「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出します。家族を被扶養者にするときは「健康保険被扶養者(異動)届」も提出します。
税務署への提出書類
会社の本店所在地を管轄する税務署には「法人設立届出書」「給与支払事務所等の開設届出書」を提出します。
役場への提出書類
本店を置く都道府県税事務所や市町村役場にも「法人設立届出書」を提出します。それぞれの地方自治体で書類名や手続きが少し異なりますので、詳細はそれぞれの地方自治体に問い合わせてください。